今年のトロント国際映画祭は9月5日から15日までの11日間、開催された。アカデミー賞の前哨戦とも言われる本映画祭のPeople’s Choice Awardを受賞したのは以下の作品。
The Life of Chuck(Mike Flanagan監督)
The Substance(Coralie Fargeat監督)
The Tragically Hip: No Dress Rehearsal(Mike Downie監督)
余談だが、1995年から昨年まで主要スポンサーをつとめてきたカナダ大手携帯会社「Bell」にかわり、今年はBellの競合の大手通信会社「Rogers」が主要スポンサーとなっていた。
今年のtiffが終わった直後、米国で放映された優れたテレビ番組などに与えられるエミー賞に真田広之主演の「SHOGUN 将軍」が18部門受賞というニュースが飛び込んできた。今はネット配信で素晴らしい作品を見ることができる。大小さまざまな映画祭ではオンライン視聴が選べることもあり、映像の世界は鑑賞する側の選択肢がどんどん広がっている。
ところで、トロントのウエストエンドに「Revue Cinema」という小さな映画館がある。非営利団体が運営しているこの映画館はトロント最古の劇場で、外観もノスタルジックな佇まいだ。この映画館は閉鎖が決まっていたが、運営団体が裁判によりこれを阻止し、新たにビル所有者と5年間のリース契約を締結したと9月10日付けのトロントスター紙が報じた。
最近、用事があって、この「Revue Cinema」の近くに行くことがあった。前を通ると、小さな入口に古い映画のポスターがたくさん貼られていて、100年あまりの歴史を感じさせる。そんなタイムマシンにのって送られたきたような空気に触れた途端、効率よく生きることを強いられる日々の中で不動の存在であり続けるこの小さな建物に、「そんなに急がなくていいよ」と言われた気がした。