
まだ太陽は当分のぼらない早朝、クーラーのない我が家に少しでも涼風を入れようと窓を開けてベッドに戻った。ほどなくして猫の朝食の時間がきた。外はまだ暗いが何かきな臭い。この界隈のどこかで火事でもあったのかなと思って、カーテンを開けてみると空が真っ白だった。
こんな朝は初めてではない。念のため、気象情報のサイトを見てみると、案の定、天気は「Smoke」とあり、午前4時すぎ頃に熱中症警報とは別に、大気汚染警報が出ていた。
我が家の空気清浄機がついた扇風機が示すの空気の状態のレベルは、窓を開けた途端、最悪レベルに達し、真っ赤なラインが表示された。朝の涼風はあきらめて窓を閉める。
大気汚染警報は、日中には最高レベルの10になったが、午後7時頃には6まで下がった。が、まだ屋外活動は制限することを推奨されている。試しに窓を開けてみたが、空気清浄機の汚染レベルはグリーンから徐々にイエローに変わっていった。夕方の涼風も諦めて窓を閉める。しばらくすると安全を示すグリーンになった。
この大気汚染はオンタリオ州北部の森林火災が原因だ。今日、トロントは世界で2番目に大気汚染されている地域に認定されてしまった(IQAir調べ)。
今週は木曜まで熱波も続く。昨夏も厳しかったが、今夏も厳しい暑さだ。
私がカナダに来たばかりの頃の90年代半ばのトロントは、真夏でもからっとしていて、扇風機すら必要性を感じなかった。それどころか、夜に外出する時は長袖が必要なほど涼しくなったものだ。
地球を取り巻く環境は変わっている。人為的な影響によるものも、自然に起こっていることもあるだろう。
ここ数年で立て続けに、家族や親戚に赤ちゃんが生まれた。彼らがこれから生きていく地球は、私が安穏と暮らしてきた地球とは違う。人類は今、繰り返し起こる大規模な自然災害と、ハイテク化した戦争がいつまでも続く現実の渦中にいる。彼らはそんな世界を生き抜いていくのだ。
70年代の夏の昼下がり、私は冷えたスイカを手に、兄妹とベランダに座り、スイカにかぶりついては種を目の前の庭にむかって吐き出し、誰が一番遠くまで飛ばせるか競争したものだ。無邪気で、遠い未来の心配は誰かの杞憂なのだと思っていた。
今は考えずにはいられない。想像せずにはいられない。3年後、5年後の世界の変容を。















